法人所有の車を社長個人名義に変更する方法
会社名義で買った車だけど、社長である私個人名義に変えたいな。手続きって普通の名義変更でいいのかな？
愛知県で自動車登録業務を専門に行っている行政書士です。
会社名義の車を社長個人名義に変える、もしくはその逆の手続きをしたい場合ってありますよね。
ここでは、法人名義⇔代表者名義について、ご説明しますよ。
ついでに、代表者以外の役員などへの変更方法もお伝えします。
【この記事の信頼性】
・車の手続きを専門に行っている行政書士自らが書いています。
・実際に、毎日のように車の手続きを業務として行っており、経験に基づいたアドバイスを記載しています。
・建前と本音（実務）をあわせて掲載しており、単なる知識だけではなく、実際の手続きでお役に立てます。
まずは、普通の自動車名義変更について
前提として、一般的な所有者変更（名義変更）について知りたい方は、こちらをご参考に。必要書類の書き方なども案内しています。
普通自動車の名義変更
そもそも法人名義から社長名義に変更できるのか？
できます。
ただし、一般的な名義変更で必要な書類に加えて、陸運局に提出する書類が追加で必要です。
ちなみに、車庫証明は特に注意点はありません。
通常通り、新しく所有者になる人（社長個人）が取得してください。
名義変更できることはできるのですが、問題となるのが、「利益相反（りえきそうはん）」です。
「利益相反」とは、相反する利益が存在することをいいます。
ここでは、車を手放すことになる「法人（旧所有者）の代表者」と車を所有することになる「社長（新所有者）」が同じ人間のため、一人の人が利益と不利益の両方を持つ状態です。
「法人（旧所有者）の代表」としては・・・車を高く売りたい
「社長（新所有者）個人」としては・・・車を安く買いたい
この利益相反が問題となるので、そのための追加書類として必要となるのが、「株主総会議事録」です。
※株式会社で取締役会が無い場合。それ以外の法人の場合は必要書類が異なります。
株主総会議事録のひな形は、国土交通省や法務局などのHPより入手できます。
代表者以外の役員に名義変更するには？
たとえば、法人名義で購入した車を、役員である奥さんや親などに譲渡する場合。
この場合は、通常通りの名義変更で手続きできます。
このケースでは、利益相反行為にならないので（利益相反はあくまで代表者のみの話）、法人から新所有者への譲渡証明を書けば、譲渡は可能です。（もちろん通常の名義変更書類は全部必要）
陸運局の人から見たら、新しい所有者がその法人の役員かどうか判断できませんからね。
あくまで、法人代表者は法人の印鑑証明書に名前が載っているので、新所有者（個人の印鑑証明書）と同じ人だと判断できるだけです。
ただし、法人所有の車を譲渡したり、もしくは逆に法人名義に変更する場合は、法人の財産を増減させることになるため、法人の税理士さんにも確認することをオススメします。
また、新しい車の場合、環境性能割（自動車の取得税）がかかる場合もありますので、調べてから手続きしましょう。
住所が同じなら車庫証明は省略できる？
たとえば、自宅で法人登記している場合。
この場合、法人の所在地（旧所有者の車検証の使用の本拠の位置）と社長個人の住所（新所有者の印鑑証明書の住所）が同じになります。
このケースでは、車庫証明書の取得が不要になります。
これは、同居している奥さん（役員）への名義変更でも同じです。
車庫証明が不要となるケースは、
「車検証の使用の本拠の位置」＝「新所有者の印鑑証明書の住所」
がまったく同じになる場合です。
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