「自動車の保管場所の確保等に関する法律」をきちんと読み解いてみた

行政書士たるもの、原点に返って法律を正しく読み直そうと思い、車庫証明に関する法律をまとめてみました。
今さらですが・・・、ご興味のある方はどうぞ。

目的

車庫証明の目的

【第一条】
この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。

まずは、一番重要な法律の目的について。
条文にある通り、「道路を車の保管場所として使わせないため」というのが車庫証明の目的ですね。

たしかに、住宅の前の道を車庫代わりにされていると歩行者の方が危ないですよね。
歩道も使えないですし。

道路はみんなものです。
個人的な使用はやめましょうというのが、そもそも車庫証明を取る理由なんですね。

この調子で最後までいくと長くなりそうなので、多少、省略していきます。。。

用語の定義

ところで、「自動車」ってどこまでを指すのでしょうか?
一言に「自動車」といってもだいぶ幅がありますよね。
法律では、次のように定義しています。

用語の定義

【第二条】
一 自動車・・・道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車(二輪の小型自動車、二輪の軽自動車及び二輪の小型特殊自動車を除く)

法律でよくある、○○参照(他の法律を見てね)というやつですね。
一応見ましたが、ここまで条文見る必要あるかな?という感じでした。

「自動車」とは?

【道路運送車両法 第二条第二項】
第二項 この法律で「自動車」とは、原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。

自動車の種類は色々あるけど、ようは全部ってことですね。
(第十三条で運送事業者の例外があります)
原付は車庫証明要りません。

車庫の義務化について

車庫の義務

【第三条】
自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所を確保しなければならない。

はい。車庫は法律で義務化されていますね。

軽自動車の届出の義務について

軽自動車の届出

【第五条】
軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。

軽自動車の届出も法律で義務付けられていますね。
もちろん、地域による例外はありますが。

ポイントは、「保管場所の位置を管轄する警察署長に」ですね。
「使用の本拠の位置(自宅など)」を管轄する警察ではないので、ご注意を。

車庫を変更した時

法律の条文なので、話があちこちに飛びますが、第一条から順にご説明しているので仕方ないです。
今度は、車庫を変更した場合の決まり事です。

車庫の変更

【第七条】
自動車の保有者は、(一部省略)保管場所の位置を変更したとき又は第五条の規定による届出に係る保管場所の位置を変更したときは、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、変更後の保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。変更後の保管場所の位置を変更したときも、同様とする。

これが授業だったら眠たくなりそうですが。。。
この七条は大事な条文です。

自動車購入の際に1回許可を取ったら終わりではなく、保管場所(車庫)を変更した時は15日以内に警察署に届け出なければいけません。

これは、引っ越し(使用の本拠の位置に変更)だけではなく、引っ越さなくても車庫が変更となった場合は、届出が必要です。
結構忘れている方、多いのではないでしょうか?

また、「第五条の届出」とは、前述の軽自動車のケースです。
軽自動車の方も、引っ越しや車庫の変更があった場合は、法律で15日以内の届出が義務付けられています。

15日って結構早いですよね。
忘れずに手続きをしましょう。

路駐について

路上駐車

【第十一条】
何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
 一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
 二 自動車が夜間に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為

そもそも車庫証明って、道路を車庫代わりにしないための法律でしたよね。
いつか駐禁取られるのでは?とヒヤヒヤしながら車を停めるのではなく、安心して停められる車庫を確保しましょう。

罰則

法律には、違反すると罰則があります。
車庫証明も例外ではありません。

罰則

【第十七条】
次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
 一 (省略)
 二 第十一条第一項の規定に違反して道路上の場所を使用した者
2 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する
 一 自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出し、又は警察署長に自動車の保管場所に関する虚偽の通知を行わせて、第四条第一項の規定による処分を受けた者
 二 第十一条第二項の規定に違反した者
3 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する
 一 第五条、第七条第一項又は第十三条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 (省略)
 三 (省略)

一番罪が重いのが、12時間以上の路上駐車なんですね。
やっぱり法律の趣旨が「道路を車庫として使用しないこと」だからですかね。

次の20万円以下の罰金が、「虚偽申請」ですね。
嘘の申請や届け出はいけません。

10万円以下の罰金となるのが、「届出義務違反」ですね。
軽自動車の届出や、車庫の変更届も含まれます。

まとめ

だいぶ省略してまとめましたが、以上が車庫証明の根拠となる法律です。
ほとんどの内容が当然といえば当然ですが、厳しいなと思うのが15日ルールですかね。

この法律には規定されていませんが、それぞれの自治体で適用除外地域があります。
車庫証明を申請する場合は、まずはお住まいの警察本部のHPを確認してみましょう。